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なぜ、
「花バチ」を守るの?

なぜ、「花バチ」を守るの?

日本には太古の昔から「大和ミツバチ」(ニホンミツバチ)やマルハナバチ、クマバチ、マメコバチ、ハキリバチなど約400種の「花バチ」Beeが「森」Forestに棲んでいます。草木の花に受粉して豊かな日本の森を作り、動物たちも養ってきた大切なポリネーター(送粉者)です。
生物多様性や生態系が機能する「自然の森の恵み」は、農業や林業、水産業に至る日本の産業や生活基盤、そして伝統文化を創ってきました。ところが今は、自然の森が減少し、感染病が広がり、外来生物や農薬などの影響など、多くの「花バチ」が激減しています。
事実を確かめながら、急いで「花バチ」を守る活動を始めなければなりません。

養蜂や蜂蜜に興味のある方へ

養蜂に興味があって、日本ミツバチを飼いたい……そして、少しで良いから蜂蜜もいただきたいです!
そんな貴方にお伝えしたいことがあります。

養蜂をやりたくても、年々、ミツバチも花バチも減っています。そんな状況で野生のミツバチたちが必死に集めた蜂蜜を盗ることをビーフォレスト活動はやらない!と、決めています。養蜂などできない状況です。
野生のミツバチや花バチがいなくなったら、森が無くなり農作物もできなくなります。いま、ミツバチ達が病気などで本当に少なくなっています。
そんな大変な実態を知ったら、貴方も養蜂や蜂蜜どころじゃなく、きっとミツバチや花バチを増やしたいと思うはずです。

 

いま、花バチが激減しています。その要因と課題。

  • 要因と課題①
  • 要因と課題②
  • 要因と課題③
  • 要因と課題④
  • 要因と課題⑤
  • 要因と課題⑥
  • 要因と課題⑦
  • 要因と課題⑧

自然の森の減少

●花バチの蜜源や棲み家:生息環境の減少
日本の森林面積率は、世界第三位と言われます。森林大国日本!といわれていますが、実際はどうでしょうか?
日本の森林は国土の2/3を占めます。1/3は天然林(自然林)で、1/3はスギやヒノキの人工林です。日本政府は1955年頃に、住宅需要に必要なスギやヒノキの栽培を推奨する拡大造林政策を全国で行いました。その時に多くの自然林が経済的な目的の人工林に代わりました。(人工林とは、畑のように山で木を栽培することです。)

●生物多様性や生態系が破壊された
スギやヒノキの人工林には、花バチの餌となる花の蜜や花粉がありません。ですから人工林には、昆虫はほとんどいません。木の実が出来ない森には動物も棲めません。木の実や虫を餌とする鳥もいなくなります。
スギやヒノキは常緑樹で、枯れ葉を落とさないので「土」をつくりにくいため、土壌生物も少ない山になっていきます。
自然林が1/3になってしまった日本の森林には、「日本ミツバチ」や「花バチ」などの野生生物も単純計算で1/3に減少してしまったのです。

アカリンダニなどのミツバチ感染症

ミツバチの感染病「アカリンダニ症」は2010年に長野県で最初に発見されました。2022年春現在、新型コロナのように全国に蔓延して「パンデミック状態」になっています。野生の日本ミツバチは、アカリンダニ症には耐性がないため死んしまいます。
ミツバチにしか感染しないアカリンダニ症は、西洋ミツバチの輸入時に国内に持ち込まれたと言われています。

西洋ミツバチ養蜂の影響

日本の野山には、野生の日本ミツバチや花バチ(約400種)が生息しています。
彼らは、草木の花が出す花の蜜や花粉を食べて生きています。ところが、そこに西洋ミツバチ養蜂家が沢山の巣箱を運んできて花の蜜を採集する養蜂を行います。
家畜の西洋ミツバチは、人間が蜜を採るために育てた採蜜専用昆虫です。群れの規模も飛行距離も、採蜜能力も野生の花バチを圧倒します。巣箱が置かれた野山では半径5キロの範囲で蜜が採集されます。
その結果、その地域の花バチの食料が激減するため、野生のミツバチや花バチも激減してしまうと言われます。
生物多様性や生態系は野生生物に依存するため、人工的な西洋ミツバチ養蜂は自然環境破壊の大きな要因となっているようです。

農薬の影響

神経を麻痺させて効果的に昆虫を駆除するネオニコチノイド系農薬が近年農業分野に広がっています。ところが農薬散布したところにミツバチがいた場合、カメムシなどと同じように死んでしまいます。
このことが農業と養蜂家との間で問題になっています。
特に海外の大規模集約型農業が盛んな地域では、飛行機での散布などその影響が大きく、ネオニコチノイド系農薬の使用中止へと発展しています。
また、ネオニコチノイド系農薬問題は、養蜂家からメディアを通じて情報発信されていますが、野生のミツバチや昆虫への影響については、ほとんどニュースにはなっていません。

駆除対象となっている

日本ミツバチなどの「花バチ」は、私たちの自然環境や農作物にとって有益であるのですが、スズメバチなどのように刺される・・・「ハチは怖い!」と一括りにされて一般に駆除対象になっています。
棲むところがなくて屋根裏や縁の下で巣を作る日本ミツバチは、「ハチは怖い!」ので駆除されています。
日本の教育は、被子植物や昆虫のことは個別に教えますが、昆虫が植物と相互に支え合って生きていることや、それが私たちにとってかけがえの無い仲間だという大切なことを教えていません。

気候変動の影響

例えば、毎年、山桜など春の花が一気に咲く頃に「異常な長雨が続いた場合」、雨に濡れた花は蜜を出しません。「花バチ」も蜜が取れないし受粉も出来ません。そうすると木の実が激減して鳥や動物たちの食料も減ってしまいます。ミツバチや花バチの食料も減ってしまいます。

●共通するのは人間の仕業
日本ミツバチが減少する要因を見ていくと、どれもが人間の過剰な自然利用・消費によって自然を壊した結果です。生物多様性の喪失や気候変動は繋がっていて、人間の経済活動が起因しています。

誰も知らない大問題!

ビーフォレスト・クラブでは、ビーフォレストに営巣した日本ミツバチにアカリンダニ症などの疑いがある場合、死んだ働きバチを家畜保健衛生所に届けて検査をお願いするように通知しています。ところが、家畜保健衛生所の対応が都道府県によって異なるようです。

●都道府県毎に異なる家畜保健衛生所の対応
1)検査が無料なところ、有料なところがあります。
検査をすることによって感染を食い止めたい思いですが、届ける側にメリットは無いと思うのですが、なぜ、有料なのでしょうか?
2)わざわざ検査サンプルを持っていかなければならないところ、来てくれるところがあります。
3)発生データがいい加減
複数群が同じ症状であるのに、検査する1群を(一戸)としてカウントして「アカリンダニが発症しました!」と報告されています。農林水産省のデータでは、調査戸数と群数が異なっていました。都道府県によりカウントの仕方が異なるかも知れません。
4)検査しかやらない機関
たくさん死んで壊滅的な状況ですと説明しても、検査してその結果を通知するだけです。伝染病であるにもかかわらず、対応は畜産課に養蜂届を出している養蜂家に「アカリンダニが発症しました!」と報告するのみです。現状調査や広がらないような対策は何故か皆無です。
5)誰も分からない野生昆虫の実態
家畜保健衛生所の職員によると、西洋ミツバチ養蜂家は自分で処分してしまって届けない方が多いとのことです。また、日本ミツバチ養蜂家のほとんどは届けません。
アカリンダニ症に感染している実態と農林水産省の届出伝染病の発⽣⽉報データとは相当大きなの乖離があるようです。ですから、アカリンダニ症による野生の日本ミツバチの感染状況や減少状態を家畜保健衛生所や農林水産省、誰も把握できないのが実態です。
6)生物多様性や生態系が大切なのに
日本には、家畜の昆虫を調べようとする機関は存在しますが、野生昆虫の増減を調べる機関やモニタリング・システムはありません。しかし、農林水産省や環境省も生物多様性の喪失への対応を検討しようとしていますが、いったい何を根拠にしているのでしょうか?

関連情報:農林水産省HPには,「家畜の病気を防ぐために」
監視伝染病の発生状況のデータが公開されています
届出伝染病の発⽣⽉報(令和3年12⽉)【速報】
の7頁のアカリンダニ症の項目を見てみると、全国で17戸の届出があり、計30群の被害と記載されています。
表の項目をよく見ると「家畜の種類」の「蜜蜂」と書かれています。
以上のことで、生物多様性が対象とする野生昆虫は該当しないデータになっています。・・・なんと、野生の日本ミツバチのアカリンダニ症の実態は、誰も把握出来ないということになります。

激減要因の本質

野生ミツバチや花バチの激減要因は、どれもミツバチを減らすことを意図した結果ではありません。それは、自然資源を無制限に利用し消費した過剰な経済活動が原因です。しかし、気候変動や環境問題を目の当たりにした私たちは、今や自然資源が有限だと気づいています。
「ミツバチ達と森をつくる自然回復活動」を進めていると、様々な「誤解」という障壁に出合います。ミツバチは皆同じだと思っていたり、人工林を自然環境だと勘違いしたり、人工的な状態と自然な状態の違いが分からずに自然は人工的に作れると思ったり、個人や企業の利益のために公的な自然環境破壊を個人の権利として容認したりと、このような多くの誤解が、間違った発言や行動となり、結果的に自然破壊や混乱をもたらせています。
「客観性を失った思い込み」は、なかなか修正できません。自然環境活動に必要なのは、事実に基づいた正確な情報や知識の共有です。その前提がないと会話も政策や行動評価も成立しないのです。
日本国内で、ミツバチは本当に減っているのか?生物多様性の喪失は本当か?
私たちは、実践的なビーフォレスト活動と共に「誤解を解消する」活動も学びながら進めています。

ポリネーターを守ろう! 世界の潮流リンク

生物多様性や生態系を守るやめ「花バチ」や「昆虫」を守る提言や政策が世界で進められています。
しかし、自然回復のための私たちが参加出来る実践的、具体的な方法はほとんど見当たりません。

昆虫の激減、世界の対応事例 リンク集(外部サイト)

このままでは間に合わない:世界の潮流 リンク集(外部サイト)

事実を確かめよう!

日本国内でも、生物多様性や生態系に大きなダメージがあるポリネーター(日本ミツバチなどの花バチ)が激減していると言われますが、実際の減少変化や地域性、減少要因などのデータは断片的です。減少要因や問題解決の発見には広域なモニタリング・データを基にした継続的な状況把握が必要です。
そこで、ビーフォレスト・クラブは、2015年から「ミツバチ巣箱」プロジェクトとして、日本ミツバチの生息状況が分かる「ビーフォレストMAP」づくりに挑戦しています。2021年には全国に100ヶ所以上のビーフォレスト(繁殖環境)をつくり、日本ミツバチの営巣状況をモニタリングしながら「ビーフォレストMAP」づくりを進めています。
また、2020年からは、単独行動する野生の花バチを増やすための「ハチ宿」プロジェクトを開始しました。「ハチ宿」づくりを全国に広げてモニタリング・データによって花バチの「ビーフォレストMAP」づくりを目指しています。

ビーフォレスト環境指標MAP

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